タモリさんが言う極楽とは、桜が咲いている公園で、カップルがいたり、子どもたちがボールを投げて遊んでいたり、そんな関係ない人たちがそれぞれ関係を持たずに楽しんでいるところをぼんやり見ている時だと言う。タモリさんのオールナイトニッポンは、なんだか、神の領域の話を聴いてるような、そんな貴重な2時間だった。星野源さんのオールナイトニッポンをよく聴いている私にとって、タモリさんと星野源さんのタッグは、最高な組み合わせ。幼いころからジャズに親しんできた源さんとタモリさんのジャズ話もとてもよかった。周りがJーポップを聴いている中、マニアックなジャズを部屋で一人聴いている自分は、孤独なんだけど寂しくなくて、友達とは繋がっていないけど、何かすごいものと繋がっているような、自分の身体が発光しているような感覚だと言う話にうっとりする。そんな二人の話を聞きながら、私の身体が静かに発光しているのを感じる。
タモリさんの幸せについての考えもすごかった。幸せという字は、手枷という意味からきていて、死罪を逃れて手枷で済んだという意味があるのだそう。だから幸せは、前の上を見て願うんじゃなくて、後ろの下の方からみて感じるものだ。とタモさんが話すと、それじゃあ幸せって死のちょっと前にあるものなんですね。と、源さんが付け足す。ちょうど仕事の失敗でモヤモヤ悩んでいた自分が、取るに足らないことで悩んでいるような、すっと浄化されたような気分になれた。
エンディングも素敵だった。昔、タモさんが、現役でオールナイトニッポンをやっていた時と同じく、ジャズトランペット奏者マイルスデイヴィスのRoud About midnightが渋く流れる。少しひねくれていて紳士的でお洒落なタモさんの雰囲気とこの曲がまたとてもマッチしていて、もう一度初めから聴きたくなる。
オールナイトニッポン55周年記念は、他にも、たくさんのレジェンドMCたちが55時間をつないでいく。しばらく、ワクワクが止まらない!